LPWAとは

LPWA(Low Power Wide Area-network、LPWANとも称される)は、その名のとおり「省電力かつ長距離での無線通信が可能」という特長をもった通信技術の総称です。

世界のIoTデバイスが数百億と普及するIoT(Internet of Things)社会の本格的な到来に向け、従来よりも低消費電力、広いカバーエリア、低コストを可能にするLPWAネットワークが期待されています。2022年には50億台ものデバイスがLPWAネットワークに接続されるとも言われています。

LPWAの特長

長距離通信

「Low Power Wide Area」の名が示すとおり、LPWAは長距離通信を想定した規格となっています。通信方式や通信環境によりますが、数km~数十kmの長距離伝送を実現できます。

低消費電力

通信頻度など条件によりますが、電池1つで数年単位の稼働も可能なほど省電力です。

低速度

通信速度は、携帯ネットワーク(3GやLTE)や、Wi-Fiなどと比べると低速です。送信容量に制限があるものもあります。

LPWAの種類

LPWAの種類は、①免許不要の周波数帯域(アンライセンスバンド)を利用する通信方式と、②免許が必要な周波数帯域(ライセンスバンド)を利用する通信方式の2つに分けられます。日本における主なLPWAはこちらです。

  1. アンライセンスバンドを用いたLPWA
    Sigfox、LoRaWAN、ELTRES、ZETA
  2. ライセンスバンドを用いたLPWA
    LTE-M(LTE Cat.M1)、NB-IoT(LTE Cat.NB1)
  • 各社資料を基に当社調査にて作成(2020年5月時点)
アンライセンスバンド(920MHz帯) ライセンスバンド
(携帯電話の周波数)
Sigfox LoRaWAN ELTRES ZETA LTE-M NB-IoT
ネットワーク
種別
公衆網 自営網、公衆網 公衆網 自営網 公衆網 公衆網
エリア 事業者により基地局が全国に設置されている。
国内人口カバー率95%(2020年1月時点)
ユーザーが独自にアクセスポイントを設置することでエリアを構築する。
事業者により基地局が設置されていることもある。
事業者により基地局が設置されている。
今後全国にエリアを展開予定。
ユーザーが独自にアクセスポイントを設置することでエリアを構築する。 携帯通信事業者により基地局が全国に設置されている。 携帯通信事業者により基地局が全国に設置されている。
電池寿命目安 丸 丸 丸 丸 丸 丸
事業者 京セラコミュニケーションシステム株式会社 株式会社ソラコム、センスウェイ株式会社、ほか ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 - 携帯通信事業者各社 携帯通信事業者各社
その他備考 国際ローミングサービスあり オープンな技術仕様 GNSS標準搭載 中継器を用いたマルチホップ通信が可能 FOTA(Firmware Over The Air)やハンドオーバが可能 -

Sigfox

仏国UnaBiz SAS社で開発された通信方式です。非常に低速(~100bps)ではありますが、低価格・低消費電力・長距離伝送の特長があるグローバルIoTネットワークです。日本では、京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)が通信事業者としてエリアを構築しパブリックネットワークサービスを展開しています。

KCCSのLPWA「Sigfox」

私たちKCCSが提供するSigfoxは、簡単に導入が可能なグローバルに展開しているクラウドサービスです。
私たちがSigfoxで目指す姿は大量のものをクラウドにつなぐIoTであり、『すべてのものが「つながる」新たな未来へ』です。

Sigfoxについて詳細はこちら
導入事例はこちら

LoRaWAN

LoRaWANの技術仕様は、400社超の会社が参加するLoRa Allianceにより策定され、パブリックに公開されており、グローバルかつオープンな通信方式です。ユーザーはゲートウェイ(親機)を配置することで、半径数kmにある子機との無線LANのような自営の無線ネットワークが構築可能です。日本では、株式会社ソラコムやセンスウェイ株式会社、ほかがサービス展開しています。

ELTRES

ソニー株式会社で開発された通信方式で、長距離安定通信、高速移動体通信、低消費電力が特長です。ETSI(欧州電気通信標準化機構)の国際標準規格としても採用されており、また、GNSSの時間情報を使用した同期通信を行っています。ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社がサービス展開しています。

ZETA

ZiFiSense社で開発された通信方式です。超狭帯域による多チャンネルでの通信、マルチホップ・メッシュネットワークによる分散アクセス、低消費電力による双方向通信の特長があります。ユーザーは基地局(アクセスポイント)を配置し、半径数kmにある中継器を用いて自営のメッシュネットワークが構築可能です。

LTE-M(LTE Cat.M1)

3GPPで標準化されているIoT向けの狭帯域通信方式で、携帯通信事業者がサービス提供しています。ハンドオーバ機能を有しており、移動体通信も可能です。

NB-IoT(LTE Cat.NB1)

LTE-M同様に3GPPで標準化されているIoT向け通信方式で、携帯通信事業者がサービス提供しています。LTE-Mと比べると、さらに狭い周波数を利用し、通信速度が遅く、ハンドオーバ機能がありません。