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低予算で始めよう!Inosensor ES DevkitではじめるIoT(消費電力編)

2021.06.28

Sigfoxエバンジェリストの西田です!わーわー。

 本ブログでは、複数回に分けてInnovation Farm株式会社の開発用キット「Inosensor ES Devkit」の利用方法を紹介しています!

5回目になる今回は、ちょっと初心に戻って、消費電力について実験してみます!

今回も、Qiitaの記事を参考に進めていきましょう!

LPWAって本当にローパワーなの!? Sigfox端末(Inosensor ES Devkit)が本当に低消費電力か測定してみた

Inosensor ES Devkitって?

Inosensor ES Devkit」は、STマイクロエレクトロニクス社製の超低消費電⼒Sub‐GHz無線ICであるS2‐LPを採⽤したSigfoxモジュール「IFS-M01」を搭載した開発用キットです。

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量産用のSigfoxモジュールを搭載したプロ仕様でありながら、初心者の方でも簡単に使い始めることができるのが特長です(1台から購入できるので、まだ入手していない方は、この機会に入手してみてくださいね!)。

安定化電源を用意しよう!

そまず最初に、電源を用意します。普通の電池だと使ってるうちに弱くなったりして、ちゃんとした値が測定できなくなる恐れがあります。安定化電源を用意しましょう。

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今回は、DMM.make AKIBAでお借りした、菊水電子工業 コンパクト直流安定化電源PMX35-3A(0~35V / 0~3Aを使います。

この機械を使うことにより、指定した電圧の電気を流すことができます。今回は写真にあるように 3.00V に設定しました。

ちなみに、この機械だけでも電流を測ることは可能です。ただし、小数点第三位までしか測れません。そこで、もっと高い精度で電流を測ることができる機械を用意することにしました。

デジタルマルチメーターを用意しよう!

電流を測定するために、デジタルマルチメーターを用意します。

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今回は、KEYSIGHT 34465A デジタルマルチメータを用意しました。ちなみに、お値段はAmazonで ¥380,279 です。

測定開始!

機材をケーブルで接続したら、測定開始です。安定化電源のOUTPUTボタンを押すと、デジタルマルチメーター経由でInosensor ES Devkitが起動します。

起動直後のデータ送信が終わるまで待ち、LEDが消えたら待機状態となります。

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なんと! 0.018mAでした! 比較対象がないのでよくわかりませんが、全然電流が流れていない感じがしますね!

計算してみよう!

Inosensor ES Devkitは通常、単3アルカリ電池を2個、直列で接続して使用します。これは、電池1個が1.5Vなので、直列に使うことで3.0Vになるからです。

パナソニックのホームページによると、単3アルカリ電池の場合は、100mAで約20時間使用できることがわかります。

放電電流 * 定電流連続放電時間 = 電池容量(mAh)

という公式に、あてはめて電池容量を計算してみると、単3アルカリ電池の電池容量が計算できます。

単3アルカリ電池の電池容量
100mA * 20時間 = 2000mAh

この容量(2000mAh)をもとに、どれだけ待機できるのか計算してみましょう。

単3アルカリ電池利用時の待機可能時間
2000mAh / 0.018mA ≒ 111,111時間 ≒ 12年

ということで、待機するだけだったら12年持つことが分かりました!

電波を送信してみよう!

次に、Sigfox通信中の電流を測ってみましょう。Inosensor ES Devkitに搭載されているボタンを押すと通信が発生するので、その時の電流を測定します。

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測定の結果、通信中は最大約20mAまで電流が上がりました(Sigfoxは3回データを送信するので、3回あがります)。 通信中は、LEDが光ったりもするので、その分も電流が流れてるのかもしれませんね。

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デジタルマルチメーターについてきたソフトを使ったら、グラフが見れたのでスクショを撮ってみました(動画とは別に再度ボタンを押して測定しています)。

3回送信しているのがわかりますね! 通信時間はトータルで10秒くらいでしょうか。

計算してみよう

Sigfoxには、回線契約のプランごとに、1日の最大通信回数制限があります(記事執筆時点では、1日140回送信可能なプランが最大です)。

このプランで使った場合に、どのくらい使えるか計算してみましょう。

まずは、通信に必要な1日あたりの消費電流を計算します。

通信1回あたりの消費電流量
20mA * 10秒 ÷ 3600秒(1時間) ≒ 0.0556mAh

通信に必要な1日あたりの消費電流
0.0556mAh * 140回 ≒ 7.784mAh

次に、待機時間に必要な1日あたりの消費電流を計算します。

待機時間に必要な1日あたりの消費電流
0.018mA * (24時間 - (140回 * 10秒 / 3600秒)) = 0.425mAh

2つの数字を足して、1日あたりの消費電流を計算します。

1日あたりの消費電流
7.784mAh + 0.425mAh ≒ 8.209mAh

1日あたりの消費電流がわかったので、単3アルカリ電池で、どのくらい使えるか計算します。

単3アルカリ電池での利用月数(1日140回使用時)
2000mAh / 8.209mAh ≒ 243日 ≒ 8ヶ月

アルカリ単3電池2本を使えば、1日140回通信するプランでも、半年以上使える計算になりました。

1日1回だったら、どのくらいなの?

先程の計算は、通信回数がMAXのプランでした、普通に考えてそんなに使わないと思うので、1日1回送信した場合を計算してみましょう。

まずは、通信に必要な1日あたりの消費電流を計算します。

通信に必要な1日あたりの消費電流
0.0556mAh * 1回 ≒ 0.0556mAh

次に、待機時間に必要な1日あたりの消費電流を計算します。

待機時間に必要な1日あたりの消費電流
0.018mA * (24時間 - (1回 * 10秒 / 3600秒)) = 0.43195mAh

2つの数字を足して、1日あたりの消費電流を計算します。

1日あたりの消費電流
0.0556mAh + 0.43195mAh ≒ 0.4876mAh

1日あたりの消費電流がわかったので、単3アルカリ電池で、どのくらい使えるか計算します。

単3アルカリ電池での利用月数(1日1回使用時)
2000mAh / 0.4876mAh ≒ 4101日 ≒ 11年

アルカリ単3電池2本を使えば、なんと11年も使える事がわかりました!

ローパワーすごい!

計算ばっかりで、若干あっているか不安になってきましたが、まとめると Inosensor ES Devkitは、11回の通信なら、単3アルカリ電池2本で、11年くらい使えることがわかりました(実際は、機械の寿命とか利用条件とかあるので、あくまでも計算上の値です)。

参考にしたQiitaの記事では、もう少し詳しく計算したり、電流測定の様子を動画で紹介しているので、興味がある方はぜひそちらも御覧くださいね!

最後に宣伝&求人!

Innovation Farm株式会社では、IoT製品の作成を、アイデアの実現、PoCの作成から量産まで、一気通貫にサポートします!

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わーわー!

著者情報

Innovation Farm 株式会社

Sigfox エバンジェリスト 西田 寛輔
日々最新トレンドを追いかけている白衣のマイコン先生