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Sigfoxプロジェクトの検討ポイント:PoCから商用展開まで

2020.08.25

こんにちは。株式会社ソラコムの堀尾です。

ソラコムの提供するIoTプラットフォームは、IoT SIMを使ったセルラー通信に加え、通信技術としてSigfoxをサポートしています。元々IoTに特化した通信技術であるSigfoxとIoTプラットフォームであるSORACOMの相性は良く、ソラコムが提供するいくつかのサービスがセルラー / Sigfox共通で利用できます。

ソラコムのプラットフォームは、エンタープライズ・ユーザーによる大規模な利用だけでなく、中小規模のユーザーが1回線から利用できることを考慮して設計されており、さらにプロジェクトの規模拡大に応じた異なるコンテンツ / サービスによる支援を提供しています。

この記事では、IoTプロジェクトがPoC(Proof of Concept、概念実証)を経て、商用展開に至る一般的な道筋と検討のポイントをご紹介しながら、各フェーズでソラコムが提供している支援体制について紹介します。

IoTプロジェクトのフェーズ

IoTプロジェクトでは、
1)小規模なPoCを行い、その評価を踏まえて
2)商用展開の可否を判断したり、展開規模を決定したりすることが一般的です。

初めに小規模なPoCを行う理由は、本格的な投資の前に効果を測定するためで、新しい取り組みほどユースケースの前例が乏しいため、事前の検証が重要となります。Sigfoxの採用によるデバイスのコスト削減などのメリットは、展開規模の大きなプロジェクトほど得られやすくなりますが、そのような大規模投資を想定する場合、事前の検証はさらに重要と言えます。

1)PoC

PoCそのものはあくまで検証なので、なるべくコスト / 時間のかからない形でやることが望ましいです。コスト / 時間がかかるのはなんといっても開発であり、特にデバイスの開発は大きなコスト / 時間を要するため、なるべく新規開発を避ける、ないし最低限の部分開発に留めるべきです。そのためPoCでは、既存のデバイスやソリューションをいかに活用するかがポイントになってきます。   

既存のデバイスやソリューションを活用してPoCを行う場合、商用展開時の要件を全て満たすのが困難な場合も多くあります。例えば既存の汎用デバイスをユースケースにあてはめてPoCを行う場合、ユースケースに最適化された専用のデバイスと比較すると、特にサイズや電池寿命などで差が生じてきます。データの可視化や通知による業務の改善効果だけを検証するのであれば、PoCの段階ではデバイスのサイズや電池寿命には目を瞑る、というスタンスも取れるでしょう。ここで検証目的が不明確だと「そのPoCは意味があったのか」と後から問われかねませんので、何を検証するのか / しないのか、PoCでは事前に明確にしておくことが大切です。

ソラコムの支援体制

SORACOM IoTストア」では、このようなPoCフェーズでご利用いただける、様々なセンサーを備えた汎用デバイスSens'itや、接点状態を通知する、そのまま商用展開も可能なドライコンタクトコンバーターなど、各種Sigfoxデバイスを1点から購入可能です。

ソラコムではさらに、ユースケースに応じたデバイスの導入手順を「IoT DIYレシピ」として無償公開しています。レシピが想定するユースケースに合致していれば、レシピを参考に自力でシステム構築し、そのままPoC~商用展開することも可能です。

先日、 先にご紹介したドライコンタクトコンバーターを利用したSigfoxによる冠水検知システムのレシピを公開しました。システム導入時にしばしば問題になるのがデバイスの具体的な設置方法ですが、本レシピでは実際にセンサーを設置する手順から可視化までを解説します。 必要な部材は全て「SORACOM IoTストア」などオンラインでの調達が可能なので、自力でシステム構築を検討される方にとっては非常に便利なコンテンツと言えます。IoTプロジェクトを検討する際、想定するユースケースに近しいレシピが「IoT DIYレシピ」の中にないか、ぜひ探してみて下さい。

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2)商用展開

既存のデバイスやソリューションがユースケースに最適であれば、PoCの構成をそのまま商用展開していくのがベストです。そうでない場合、デバイスの新規開発という選択肢が生じます。Sigfoxプロジェクトは、Sigfoxの特長である低消費電力を活かしたバッテリー駆動のユースケースがほとんどです。PoCの際は既存の汎用デバイスを活用することも考えられますが、様々なインターフェースを備えた汎用デバイスはサイズや消費電力が大きく、商用の長期稼働が難しい可能性があります。

要件が厳しければ、ユースケースに不要なインターフェースや機能を削ぎ落とし、サイズや消費電力を最適化したデバイスを新規開発する必要が出てきます。このデバイスの新規開発~量産をサポートするために、ソラコムではエンジニアリングサービスを提供しています。

ソラコムの支援体制

ソラコムの提供するエンジニアリングサービスは、600社を超えるソラコムのパートナーの協力により実現するもので、あらゆるユースケースに対応します。SORACOMプラットフォームを利用すれば、デバイスからSORACOMプラットフォームに処理をオフロードしてデバイスを簡素化し、デバイスのコスト / サイズ / 消費電力を削減することが可能です。また異なる通信技術をサポートするソラコムを採用すれば、システムを主にSigfoxの上に構築して、その低コスト・低消費電力といったメリットを得つつ、他の通信技術を補完的に導入することも可能になります。

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このようにエンジニアリングサービスという形でデバイスの開発段階からソラコムがプロジェクトに関わることで、SORACOMプラットフォームのメリットを最大限活かしたデバイス設計を支援します。エンジニアリングサービスを含むソラコムのSigfoxプロジェクトの支援体制については、こちらの動画でも説明しておりますので、ぜひ参考にして下さい。

まとめ

ソラコムではPoC~商用展開の各フェーズをサポートする様々なプロダクトを提供しています。
ソラコムの提供するエンジニアリングサービスは、商用展開を前提にデバイスの新規開発~量産をサポートするものですが、PoCの段階からご相談頂けると、商用展開に向けたより確かな道筋が描けます。これは、PoCの段階から商用展開を見据えて検証目的などを整理する必要があるからです。ソラコムではこのようなプロジェクト進行を支援するための「プロフェッショナルサービス」もご用意しています。

IoTプロジェクトの立ち上げをご検討の際は、ぜひ初期段階でソラコムにご相談ください!

著者情報

株式会社ソラコム

事業開発マネージャー
堀尾 一生

株式会社ソラコム:https://soracom.jp/
ソラコム公式ブログ:https://blog.soracom.com/ja-jp/