アマゾンに学ぶ“新規サービス”の立ち上げ方

事業部長ブログ

みなさん、こんにちは。

KCCSでSigfoxを担当しております、LPWAソリューション事業部長の松木です。

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さて、今回はアマゾンがどのように新規サービスを立ち上げてきたかについてが題材です。

LPWA、SigfoxというIoTの専用ネットワークは、まったく新しいサービスであるだけに新規性がどうしても強くなります。

したがって、Sigfoxを使ったデバイスやサービスの開発者は、まだ見ぬ世界に足を踏み出す開拓者の役割を担います。

うまくいかないのではないかという他者の視線と前例がないというリスクを背負いながらプロジェクトを推進する必要があります。

リスクを背負うという意味では、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスは「リスクの達人」と呼ばれています。

ベゾスのリスクに対する考え方は、IoTに関する新規サービスをマネジメントする経営者の方々の参考になるのではないかと思い、今回のテーマといたしました。

以下の書籍を参照しながら、私たちでも共感できるポイントをいくつかひろってみました。(以下、『』は下記書籍からの引用となります。)

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「ベゾス・レター:アマゾンに学ぶ14ヶ条の成長原則」

スティーブ&カレン・アンダーソン 著
加藤今日子 訳

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そもそも論からですが、この本の冒頭で、

『リスクに関する行動には、2種類しかない。

(中略)

やるリスクとやらないリスクーーつまり、リスクをとるかとらないか。その2つしかない』

とあります。

新規サービスのリスクというと、まず、私たちは「やるリスク」の方を想定します。

なので、ROI(Return On Investment:投資利益率)に目が向き、どの程度の利益が生まれるかに関心が集中します。

事業なのですからそれは当然のことです。

しかし、いまだかつて誰もやっていないことに挑戦しているのですから、利益の算出精度にも限界があります。

それにも関わらず、経営陣が納得してくれる数字を私たちはつい忖度して作ってしまいがちです。

または失敗を恐れるがあまり、デバイスやアプリの性能や機能がインフレ化してしまい、お客様とベンダーとの間で不毛なせめぎ合いが長期化したりします。

なぜ、こういうことが起こるのか?

それは、「やるリスク」には、もしも失敗したときの責任がつきまとうからです。

しかし、一方で、万が一うまいくいかなかったとしても、ある種の貴重なリターンが残ります。

このリターンとは、リーダーシップの発芽と未だ誰も見ぬ世界での経験です。

ただ、残念なことにこれらは損益計算書には載ってきません。

経営を短期的数字でしか考えられない経営者にとっては、失敗はお金をドブに捨てるようなものです。

しかしながら、上記書籍では、このような失敗を映画「アポロ13号」でのジム・ラベル船長の言葉にちなんで、

『いい失敗』

とよんでいます。

NASAはアポロ13号の『いい失敗』の経験で危機への対応能力を格段に引き上げています。

また、この本では、

『いい失敗からの学びを重視しているので、ベゾスのビジネスモデルにはあえて失敗が組み込まれている』

と紹介しています。

ベゾスは、パブリックのカンファレンスで次のように話しています。

少々長いですが、引用します。

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『これは本当に大切なのですが、継続して実験を行わない会社や、失敗を許容しない会社は、最終的に絶望的な状況に追い込まれます。

会社の命運が尽きて、もはや神頼みしかできない状態に陥ってしまうのです。

一方、常に賭け続けてむしろ賭け金を引き上げていくような会社は、実は社運そのものを賭けるようなことはしないので、勝ち残ります。

社運を賭けるなんてことが、うまくいくはずはありません。

そんなことをするときは自暴自棄になっているはずですから。

最後まで決して手をつけるべきでない領域なのです。

ー2014年 『ビジネスインサイダー』カンファレンス「IGNITION」ー』

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現実にアマゾンは今までも数々の失敗を繰り返しているそうです。

中でも大きいものが、

・アマゾンオークション

・ zShops(※1)

・ファイアフォン

です。

しかしながら、前の二つの失敗は、「アマゾンマーケットプレス」(※2)として、三つ目の失敗は、「アマゾンエコー」と「アレクサ」として結実しているそうです。

これらの失敗というのは、発明王エジソンがいうところの、

『失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ』

に通じているわけです。

さて、最後に「やらないリスク」についても付け加えておきます。

「やらないリスク」にもリスクは発生します。

このことを私たちは見逃しがちです。

「やらないリスク」のリスクは、目に見えないリスクです。

変化しないことで生じる現実とのギャップが次第に大きくなり、そのダメージがボディブローのごとくきいてきます。

人間で喩えれば、生活習慣病のようなもので、確実に心疾患や脳血管疾患に近づいていきます。

「やらないリスク」は、学ぶべき経験も生まず、責任も曖昧にしたまま、時限爆弾ゲームのように破滅的経営課題を次世代に先送りしようとします。

すると、今回のようなコロナ禍が起こり、大騒ぎになります。

この機会にもしアマゾンとベゾスに学ぶべきことがあるとすれば、以下のような『顧客へのこだわり』姿勢ではないだろうかと自省もこめて思います。

『ベゾスがほかの人と違っていたのは、常に市場の求めているものを試して、顧客のためにアイデアを生み出し続けたことだ。

顧客自身が自分の欲しいものがわかっていないうちから、そうしたのである。

ベゾスにとってリスクとは、意図的かつ計算が立つものだった。』

在宅勤務をどうするかだとか、DXにどう取り組むかという問題以前の、それらよりもはるかに大事で喫緊の課題なのではないでしょうか。

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※1 アマゾンオークションの理念を引き継いだサービス。個人でも会社でも、誰もがオンライン店舗を開設できるものだった。

※2 2001年に始まったプラットフォーム。アマゾン以外の出品者が自身の商品をアマゾンの商品と同じページに並べることで、アマゾン顧客と直接取り引きできるようになった。アマゾンのプラットフォームを使うことに支払う手数料は、売上の平均15%。