工学系を目指す学生が、工学基礎を学ぶのにSigfoxをやるべき7つの理由

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IoTに特化したLPWAネットワーク"Sigfox"。省電力、長距離、低コストを謳ったこのネットワークは、実は、情報通信に興味を持つ学生向け学習コンテンツでもあると考えています。
なぜか?答えは「シンプルなネットワーク」だからということになりますが、7つの理由をあげてみたいと思います。

1.IoTは企業が引き続き注目

東京オリンピックを迎える2020年においても、各企業はAI、IoTや5Gビジネスの推進を謳っています。いずれ、キーワードは変わっていくものの、スマートフォンが普及し渡った現在、新たな情報元としての「モノ」志向は、ここ数年続くでしょう。
その市場背景の中、モノは、より高速・低遅延に向かうものと、低コスト・低消費電力(Massive IoT)に向かうものの両面を持つでしょう。まさに5GとLPWAがキーとなります。

では、そのIoTにおいてセンサー(モノ)から情報を集め、アプリケーションを作るという一連を考えてみると、

  1. センサーから情報を取得し、コンピュータで処理できる形に変換する(デジタル化)
  2. デジタル化された情報を電波に乗せ、サーバ(プラットフォーム)に伝送する
  3. プラットフォームで思い描いたアプリケーションを作りこむ

という流れになるかと思います。この流れで話を進めていきます。

2.センサーIoTの入り口として取り組みやすい

まずは、IoTに不可欠なセンサーとそれを電波で送信する装置が必要です。
Sigfoxでは、IoT開発キットとして、Arduino向けのシールドやBreakout Boardを、1年間の無料回線付きで提供しています。(開発キットはこちらのURL先に行き、"DEVKIT"でソートしてください)
つまり、マイコンボード(ArduinoやRaspberry Piなど)を用意すれば、数千円の出費で、初心者でも1日2日で簡単なサンプルを構築することができます。
これで準備は完了です

3.センサーデータを処理する体験

センサーから得られる情報は、アナログ的なものです。ある状態を、電圧や電流の大きさで表現するものが大半です。例えば、温度センサーを考えた場合、現在10℃という状態を、0.5Vと当てはめるわけです。

この例は、0℃から+100℃まで測れる温度センサーが、その計測値を0~5Vの範囲で表現しようとした場合です

開発ボードは、この0~5V範囲の値を取得できるので、それを、今回のケースだと10℃として処理します。この過程で、コンピュータの外部装置との接続としてアナログ-デジタル変換の知識を磨くことができます。

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その後、10という数値を送るわけですが、送り方にも色々ありますが、Sigfoxの場合、最大12バイトの箱(ペイロードと呼んでいます)に数値を埋め込みます。
0~100℃までの範囲で箱に入れることを考えると、1バイト分を確保しようということになります。つまり、0x0A(16進)です。
残り11バイトにその他センサーデータを当てはめることになりますが、ここで、進数変換(2進から10進、10進から16進への変換など)の知識が必要になってきます。
ビット操作、バイト配列を考えていくことが、まさに、進数変換の良い実体験となります。

4.基礎的な通信方式を採用している

次は、デジタル化されたデータを、電波を使って送信することとなりますが、デジタルデータを電波に乗せるということはどいういうこと?という疑問が出てきます。
そこで出てくるのが、変調という言葉です。
通信分野において、変調というと、基本信号に対して、その振幅、周波数、位相などを変化させることというくだりから始まりますが、昨今の携帯電話(4G、5G)で使われている変調方式となると、64QAMやら256QAMという高度な変調方式が使われています。当然、高度な変調方式を理解することは重要ですが、最近の学生はAM/FMラジオという世界にも触れたことがなく、変調方式の基礎を体感したことなく、言葉だけの世界でしか理解していないのではないでしょうか?

Sigfoxは、BPSKという位相変調方式の一種を使っており、ASK(振幅偏移変調:振幅の違いでデジタル信号の1/0を表す)、FSK(周波数偏移変調:周波数の違いでデジタル信号の1/0を表す)についで習うような比較的単純な変調方式となっています。

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5.電波を見える化しやすい

電波に乗せる仕事は、IoT端末の中にある通信モジュールですべてやってくれるのですが、実際には、どのような電波が飛んでいるかを見たいという欲求も出てくるのではないでしょうか?
電波を見ようとするとスペアナやオシロスコープを使うでしょう。ただ、高度な通信方式の場合、安価な計測器で電波を見える化するのが大変です。
Sigfoxは、超低速(通信速度:100bps)で、それぞれの端末から送信される電波を周波数の違いで分けて送っているので、安価なスペアナでも簡単に自身の信号を見つけることができます。
更に、Sigfox SDRドングルというものを使えば、2万円程度とお手持ちのPCでスペアナの代わりとして使うこともできます。

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6.IoT Platformの勉強にも使える

最後は、集めたデータをもとにアプリケーションを作ることになります。最近は、多くのベンダーがIoT Platformとなるものを提供しており、それを活用することによって、地図アプリやグラフ、またはAI/機械学習を使った分析など、様々なことが、比較的容易に実現できるようになっています。
IoTセンサーデータを蓄積し、アプリケーションサーバーにデータ転送することができるSigfoxバックエンドクラウドは、Callback機能と呼ばれるデータ転送機能を持っています。AWSMicrosoft AzureIBM Watsonに向けた専用のCallback機能も用意されており、簡単にIoT Platformと接続できます。
この過程では、Web上でのデータのやり取りの一例を勉強することができます。

7.成果を発表する環境

せっかく勉強したことも、アウトプットしなければ、身に付きません。学内だけでなく、広く社会人とも接することで、「なぜ、こんな勉強をしないといけないのか?」ということが理解でき、学習意欲も湧いてくると思います。
Sigfoxネットワークの日本国内オペレータであるKCCS(京セラコミュニケーションシステム)は、例年、学生向けIoTアイデアコンテストを実施してます。
また、Sigfox社もHacking Houseと言って、アイデアを社会実装するまでのサポートを行う施設をパリ、シンガポール、カナダで開いています。学生コンペもありますので、思い切って、そちらにエントリーするという手もあります。

過去2年は、高校生は対象ではなかったのですが、昨今の高校教育の進化を考えると、高校生にもチャレンジできる環境を整えた方が良いかもしれないですね。

このように、Sigfoxを使ったIoT学習は、基礎から始まり、実体験しやすい環境、成果をアピールできる環境が整っています。
来年度の課外教育を考えるうえで、一度、Sigfoxに触れてみませんか?

番外編

ここであげた技術の大半は、大学、高等専門学校で習うようなことかもしれませんが、高校生でもチャレンジできる内容かと思います。例えば、
進数: (最近は小中学生でも受験を控えた学生は習っているかもしれませんが)高校数学Aの範囲です。
変調方式: 高校でも正弦波やその位相についての学習があります。
また、高校の情報科目となると、コンピュータと外部装置との接続として、センサーやAD変換を習いますし、DBやWebAPIなども習うようです。