このままでは日本は沈没する

事業部長コラム

みなさん、こんにちは。

KCCSでSigfoxを担当しております、LPWAソリューション事業部長の松木です。

さて、2月2日の日経新聞の一面の連載企画にのった記事をご存知でしょうか。

「チャートは語る」という連載企画において、次の見出しが踊ります。

「デジタル時代 開発後れ」
「民間研究費 米IT5社、日本超えも」
「米企業は研究開発投資が大きく伸びている」
「日本は機械には投資するが、情報通信機器は鈍い」
「売上高研究開発費においても、日米は差が開いた」

デジタル時代、日本の研究投資見劣り 勢い増す米IT5社(日経電子版)

まったく情けない文句が並んでいます。

要するに、AIやIoTなどのテクノロジーが、旧来のビジネスモデルをまるっきり変えてきているにも関わらず、それらデジタル時代に不可決な研究開発投資において日本企業は他国企業に比べて遅れまくっている、ということです。

このままでは、日本はいずれ沈没するかもしれない、ということです。

ここ最近、私も同じように感じることが多々あります。

Sigfoxに限らずですが、IoT案件の多くは、業務を改善するというより、仕事のやり方を根本的に変えてしまうというケースが多いです。

そして、単にコストの削減や人件費の削減以上に、あらたな顧客接点が生まれたり、顧客データを獲得するチャンスが生まれたりします。

これが、IoT案件の特長です。

しかし、残念なことに、そのような機会が見捨てられてしまうことがあります。

なぜでしょうか。

壁として立ちはだかるのが、ROI(Return On Investment:投資対効果)です。

新しい仕事のやり方が生み出す、新たなビジネス機会のタネは、残念なことにリターンとしては認められず、せいぜい定性効果として、事業計画書の片隅に申し訳程度に書かれるだけというケースが多いのです。

なぜなら、それらは具体的な経済的価値として認識しづらいからです。

価値として評価するには、未来に関する想像力と社会に関する深い理解と未知の分野にコミットする勇気が必要となります。

イノベーションに不可欠なこれらの資質が枯渇する今の日本の状況を「ROIシンドローム」と私は勝手に呼んでいます。

ROIは重要です。

ただし、ROIが想定する価値観が、過去の成功から生まれた経験値の集合内にとどまるのであればROIは計算しづらくなってしまいます。

強引に計算すると、ウソが混ざって、ケチをつけやすくなります。

一方、IoTという新たなパラダイムで生み出そうとしているのは、まだ誰が見たこともない、イノベーティブな成果です。

短期ならびにお金が信条のROIは、このような成果を表現できないのです。

考えてもみて下さい。

iPhoneが出現する前に、いったいどんなROIがあったというのでしょうか?

ウオシュレットが生まれる前に、どんなROIの計算ができたというのでしょう?

ROIはひとつの価値判断基準に過ぎません。

しかし、悪いことに、ROIは責任逃れにも使える指標です。

稟議書を決裁する人たちの中には、新たな試みが失敗に終わったときの免罪符として、「ROIをみて承認した」という人もいます。

ROIが保身的な心理状態を守る手段になることもあります。

これは、高齢化が顕著となってきた今という時代の不都合な真実でもあります。

新しき世界を築こうというものの前に立ちはだかる岩盤です。

しかし、くじけてはなりません。

こう書くと矛盾したことをいうようですが、ROIの数字は、ワクワクドキドキして、新しいことに挑戦したくてたまらない人間と、面倒くさくて、失敗がいやで、責任とりたくない人間とでは、まるっきり違ってくるのではないかと思います。

だから、立派なROIを書きましょう。

それでも、あなたの挑戦にケチをつけてくる人はいるでしょう。

機会に価値を見出すより、問題を追及することの方が、知的には、はるかに簡単で、しかも魅力的な行為です。

そういう人たちにはこう説明してほしいと思います。

間違いを決して起こさない思考は、いずれ、結果的に大きな間違いを起こします。

なぜなら、世の中の変化という流れから置き去りにされるからです。

間違いを起こさないという姿勢は、過去を参照しているに過ぎません。

未来が現在の複製であるうちは良いですが、時間がたつにつれて、未来は現在から微妙に、しかし確実に姿を変えていきます。

だから、間違えないという判断の連続は、徐々にズレを生み、結局のところ間違うのです。

一方、未来の姿は、挑戦という行為を通じてもっとも効率的に知り得ることができます。

挑戦してこそ、未来が見えてくるのです。

それが、IoTが成功する為の隠された方法です。

ここまで、いささか大げさに書いてきました。

現実問題としては、挑戦はいいが、失敗ばかり繰り返すようでは、いずれ社内の信用を失っていくかもしれません。

しかし、行動なくして、経験なくして、挑戦なくして、新たな世界は見えてきません。

それは、隠されてはいるが、乗り越えなければならない真実ではないでしょうか。

間違いを起こさないという今の多くの企業の姿勢は、いずれ日本を沈没に導くでしょう。

その先棒を担いではならないと思います。

幸いなことに、Sigfoxコミュニティには、老も若きも、男性も女性も、会社の大小問わず、数多くのイノベーターさんたちがいらっしゃいます。

みなさんとともに、日本で新たなIoTのパラダイムを築いていきたいと私(松木)は思います!!