第三の波
事業部長ブログ
みなさん、こんにちは。
KCCSでSigfoxを担当しております、LPWAソリューション事業部長の松木です。
今回は長文となっておりますので、お時間のある時にどうぞお読みいただければ幸いです。
さて、アメリカ・オンライン、通称、AOLという会社をご存知でしょうか。
1990年代に一世を風靡した米国最大のインターネットサービスプロバイダです。
創設者は、スティーブ・ケースという人です。
インターネット黎明期をささえ、その後急成長し、当時最大のメディアだったタイム・ワーナーを買収して有名になりました。
この買収はうまくいきませんでしたが、その後、投資家となったスティーブ・ケースが書いた本が、
「サードウェーブ ー世界経済を変える『第三の波』が来るー」
です。
第三の波とは、IoTを指しています。
この本の中で、苦労に苦労を重ねたスティーブ・ケースが、IoTのイノベータたちに向けて次のように語っています。
少し長くなりますが引用します。
「この先、厄介なことが次から次へと起こるだろう―それは間違いない。否定的なことばかり言う悲観論者が、よってたかってあなたを批判するだろう。しかし、こうした輩は、1896年に最初の自動車を見て、『馬を買え!』とヤジを飛ばした者たちだ。
彼らこそ、『インターネット』という言葉をどう発音するかも知らず、インターネットが必要になるなどと決して思わなかった者たちだ。
あなたの仕事は―唯一の仕事は―『できる』という頭の中の声に絶えず集中し続けることだ。あるいは、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ元大統領が別の状況で述べたように、『何事も、成功するまでは不可能に思えるものである』と自分に言い続けることだ。」
(出典:スティーブ・ケース『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』)
とても勇気付けられる言葉です。
第三の波がIoTであるのに対して、第二の波は、スマホに代表されるモバイル・インターネットとFacebookやInstagramなどのSNSです。
この第二の波が、急速に、しかもグローバルに拡大してきたので、ついついそのスピード感を無意識にインターネット関連ビジネスの基準にしてしまいます。
すると、第三の波であるIoTはスローなのではないか、と思いがちです。
しかし、波の性質が違うものを同列でみるべきではないとスティーブ・ケースは、本の中で語っています。
「しかし、新しい世代の起業家が成功を収めるには、第二の波のときの戦略は役に立たない。
第三の波の創業ヒストリーは、第二の波でしばしばそうであったように、学生寮でインスピレーションを受けて開発されたアプリが急速に広まった、というものにはなりそうもない。
第三の波の起業家たちは、第二の波の企業が決してしなかったやり方で、多分野にわたるパートナーシップを築く必要がある。」
(出典:スティーブ・ケース『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』)
パートナーシップが、IoTのエッセンスだというのは、Sigfoxにコミットしていただいている皆さんに説明の要はないでしょう。
そのうえで、第三の波では、何に留意するべきだとスティーブ・ケースは言っているのでしょうか。
「第三の波の勝者は、社会に大きな影響を及ぼすアイディアを、切迫感を持って、しかも丹念かつ巧みに追求する者たちだ。
なぜなら、これからの企業は、相反するふたつの見解のあいだで最適なバランスを見つけなければならないからだ。
一方では、ある意味“無知”であることが革新的な成功の決め手となる。従来の価値基準を根底から覆すには、斬新な視点と、古い教義にとらわれずに新しいパラダイムを検討する能力が必要だ。
(中略)
他方では、業界内の力学を理解し、潜在的なパートナーシップと政策問題をしっかりと把握していることが、ますます成功の必要条件―少なくとも主な障害を避ける必要条件―となる。
したがって、第三の波の起業家たちは、守りを固める現職者のより正確な視点と、攻勢をかける起業家のたゆまぬ破壊的思考の両方を役立てる方法を見つけなければならないのだ。」
(出典:スティーブ・ケース『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』)
つまり、IoTにおいては、保守と革新の間の絶妙なバランスを求めていくことが成功の要因となる、と言っています。
物流、医療・介護、エネルギー、公共、教育、製造など、あらゆる産業にIoTは浸透していくがゆえに、その業界の保守の旗頭である「ゲートキーパー」ともパートナーシップが不可欠だ、ということです。
このあたりのご苦労は、多くの方々にご賛同いただけるのではないでしょうか。
スティーブ・ケースは、
「この難局を乗り切るには粘り強さと忍耐が必要だ。」
(出典:スティーブ・ケース『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』)
と述べています。
KCCSのSigfoxコンセプトである
「すべてのモノが『つながる』新たな未来へ」
を実現するために、
Sigfoxパートナー同士のパートナーシップ
ならびに
各界のゲートキーパーとSigfoxパートナーとのパートナーシップ
の醸成にKCCSは貢献したいと考えております。