技術情報

Sigfox Callback - Custom Payload Config機能

2018.06.07

本稿では、Sigfox Callbackの一部機能Custom Payload Configについて記述します。
事前にSigfox Callback機能をご一読ください。

Custom payload configとは

LPWA(Sigfox)ネットワークは、ちょっとしたデータを長距離伝送することを目的としていたり、デバイスの消費電力を削減するため、Sigfoxデバイスから送信されるデータは最大12バイトのペイロードとなっています。また、この12バイトは構造化されている訳ではなく、12バイト内でユーザーが独自にフォーマットを取り決めます。
例えば、温度センサーと気圧センサーのデータを送信しようとした場合、(わかりやすくするため整数値で)温度=28℃、気圧=1012hPaというデータを送る場合、16進表記で

  • 温度 = 28℃ = 0x1C
  • 気圧 = 1012hPa = 0x03F4

となるので、1C03F4というデータ(3バイト分)をペイロードに入れ、送ることとなります。
このデータは自動的にSigfoxクラウドに蓄積されるとともに、Sigfox Callback機能により、JSON形式等で、ユーザー側のサーバー(アプリケーションサーバー)に転送されます。
通常は、アプリケーションサーバー側でこの1C03F4というデータをParseすることになるのですが、温度=28℃、気圧=1012hPaとしてアプリケーションサーバーで受け取りたいという場合があります。
それを解決するのがCustom Payload Configです。

Custom payload configの使い方

まずは、Sigfox Callback設定について知っておかないといけないので、こちらを見てください。

img-20180607-technical-01.png

このCallback設定画面内にCustom payload configという入力項目があります。ここに独自の記述ルールに基づき、16進表記のペイロードを数値化(変数代入)することができます。

Custom payload configの記述例

上記の例(0x1C03F4というペイロードを温度=28℃、気圧=1012hPa)の場合、この入力項目に
temp::int:8 pressure::int:16
と記述します。すると、Custom variables:というところに
customData#temp, customData#pressure
という変数が追加されます。

この2つの変数をURL転送する場合はBody内で、メール転送する場合は、メールタイトルと本文内で使えるようになります。

img-20180607-technical-02.png

あとは、[OK]ボタンを押し、Callback設定は終わりです。
その後、デバイスがデータを送信する毎に、下記のようなJSONがPOSTされるようになります。

{
  "device":"1234AB",
  "data":"1C03F4",
  "temperature":28,
  "pressure":1012
}

つまり、temp::int:8は、先頭バイトから8ビット分をint型としてtemp変数に代入する。ということになり、pressure::int:16は、続くバイト位置から16ビット分をint型としてpressure変数に代入するという意味になります。

img-20180607-technical-03.png

もし、先頭からではなく、あるバイト位置から何ビットかを取り込みたい場合は、Custom payload configの記述フィールドの2つ目(上記では何も記載しなかったところ)に「バイトインデックス」を定義します。
先頭2バイト目からの16ビット分をint型としてvalue変数に代入したい場合は、
value:1:int:16
と定義します。上記の例ではtemp::int:8 pressure::int:16pressure:1:int:16とではpressureは同じ値になります。(バイトとビットで混乱しますが)

Custom payload configの記述仕様

Custom payload configの記述仕様は、SigfoxクラウドのCallback設定画面のCustom payload config入力の右にある「?」アイコンをクリックすると見れますが、ちょっとわかりにくいので書いておきます。

[変数定義]:[バイトインデックス]:[データ型定義]
となります。変数定義とバイトインデックスは上述の通りです。
データ型定義部分は、指定するデータ型により記述方法が異なります。

データ型記述仕様捕捉
bool型 bool:ビットインデックス(0-7) ビットインデックスは対象バイト内の対象ビット。例えば、0x80に対しb1::bool:7 b2::bool:6と記述した場合はb1=true,b2=falseになります。つまり0x80(2進数表記で10000000)の7ビット目は1、6ビット目は0になります。
char型 char:文字数(0-7) ASCII文字としてParseします。例えば0x414243444546という6バイトを文字に変換する場合、char:6と記述することによりABCEDFという文字に変換されます
float型 float:ビット数:[エンディアン]:[ビットオフセット] ビット数は、32(bits)か64(bits)かどちらか。エンディアンはオプションで:little-endianか:big-endianを指定できます。 IEEE 754に準拠ています。
uint型 uint:ビット数:[エンディアン] ビット数でサイズを指定します。
int型 int:ビット数:[エンディアン] ビット数でサイズを指定します。
  • バイトインデックスはbool型の場合は、次のバイトに移らないのでご注意を。

著者情報

Products and Marketing Department 日比 学

京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)よりSigfox社(フランス)に出向中の元自称Sigfoxエバンジェリスト

  • KCCSから追い出され、フランスの片田舎で余生を過ごしています
Twitter:https://twitter.com/ghibi